発案者、延東
還暦も過ぎた頃、やり残した仕事にケリをつけたいと考えるようになりました。
そのやり残した仕事の一つが硝酸を除去する脱窒技術の開発で、
残された何年間をそれらに集中することにしました。
先人達の研究成果によってセルロースを基質に、好気的脱窒を行う微生物がいることは分かってはいましたが、微生物が好気的脱窒を起こす条件がよく分かっていなかったため、活発な脱窒能力が起きることはありませんでした。
そこで都市・工場排水の処理技術を参考に、
脱窒反応の条件を一から考え、空気暴露に解決の糸口があると考えました。
空気暴露と水への浸漬を繰り返し起こす装置は幾つかあるので、
さっそくセルロース担体をそれら装置にセットしたことが始まりです。
特許システムについて
好気的脱窒とは酸素のある環境で、微生物が硝酸を除去する反応のことです。
水生生物はアンモニアを排泄しますが、それは最終的に硝酸となって水中に蓄積します。
硝酸は弱いながらも毒力をもつので、蓄積量が多くなると魚の健康を損ね、無脊椎動物では飼育さえもできません。
しかし硝酸を簡単に除去する技術が無かったので、長期間飼育には何度も飼育水を交換する必要がありました。
そこで好気的脱窒反応によって硝酸を除去する装置を開発して水の交換を無くし、泡沫分離機(泡で汚れを取る機械)を備えた飼育システムと組み合わせたことで、殆ど全ての水生生物が長期に飼育できるようになりました。
水の交換がないので給水・排水もなく(ただし、蒸発や汚れ除去による減水を補う少量の給水はあります)、環境汚染を引き起こすこともありません。
おかげで魚の養殖や畜養・在庫化が海や川から遠い所でも可能になり、その品質も天然魚なみに優れています。
また無脊椎動物も在庫化が可能になり、台風や禁漁期間の品薄に対応できるようになりました。
延東について
株式会社ウィズアクア
延東 真
乱獲や温暖化で魚が取れなくなったとか、魚種が代わったとか最近よく耳にします。
養殖への依存は今後ますます大きくなることでしょう。
ただ世間の養殖魚への評価は、そう高くありません。
例えば特有の臭いがする、ヒレがボロボロで姿が悪い、薬を使ってないか心配、環境を汚すなどです。
また他方で最近の食品冷凍技術の進歩には目を見張るものがあって、解凍時にドリップ(肉汁)も出ず信じられないほど高品質です。
海外から輸入された高品質の冷凍魚が、近いうちに国内市場に大量に出回る可能性もあります。
それら問題の対応にあたって、好気的脱窒を用いた閉鎖循環式陸上飼育システム(写真)がその一助となれるよう、今後も精一杯の努力を続けるつもりです。
宮崎大学農学部教授を経て、東京海洋大学大学院教授
現在、東京海洋大学名誉教授、株式会社ウィズアクア顧問
パートナー
株式会社ウィズアクア
荻村 亨
株式会社ウィズアクア代表
おてがる水産では営業窓口を担当
陸上養殖のシステム開発とコンサルティング
株式会社Yasuda
近藤 康文
株式会社Yasuda、代表取締役
おてがる水産では陸上養殖の為の水槽を製造
PPを使用し強度があり、様々な形に対応できる水槽を開発
株式会社エムエムシー
株式会社エムエムシー企画レッドシー事業部
おてがる水産のシステムと合わせるプロテインスキマー〈ZOOX Cmmercial Line〉の導入
好気脱窒装置の製造